吉方取り③ ご縁が繋がるとき

鴨下靖令

 知人の一生懸命に付き合って見つけたT市の小さな神社でのお水取りも忘れられない思い出です。
 時刻まで合わせたので遅い時間になりました。冬の夕刻、薄暗くなり始めた神社に着いたとき、目を疑いました。
 町中の小さな神社の社までの短い山道の両側に、灯を入れた提灯が並んでいたのです。
「待っていてくださった」
と、勝手に感激してしまいました。

 ところが、うす暗くなっていることもあり、湧水の場所がわからず、立ち往生してしまいました。そのとき、宮司さんのお宅にお客様が来て中から奥様が外に出てこられたのです。
「偶然?」
 急いでうかがいました。
「すみません、お水取りにきたのですが」
「ご苦労さま」
 お手水舎の横の水栓を指して
「これが井戸の栓です。いつでもどうぞ」
と教えていただけました。
 ご縁をいただけた場所は大切です。その後吉方のたびになんども伺いました。

 何年かして、いっしょに行った知人が
「不思議よね~。息子の会社(息子さんは社長)と仕事の取引きをするようになった会社、あの神社の近所なの」
と。

 ご縁とはこうして繋がっていくのだと思います。

鴨下