2019-01-1

南田緑香

はじめてのおつかい

 正月すぎて間もなく、父の故郷の小樽の親戚の訃報がありました。私にはあいにく用事があり、休みが取れないという状況でした。85と81の父母はどうしても葬儀に参列したい、と言いはります。  父はときどき歩行困難になるほどの腰痛持ち、母は大きな病気治療中ですが、幸いなことに現在は二人とも小康状態にあり、たっぷり時間をかければ一通りのことは自分たちでできます。それから父は健康が低下してからも、あえて月に一度は都内の駅を電車で乗り継ぎタクシーを使わず時間をかけて歩く「おでかけ」を積んでいました。  迷いに迷ったのですが、年寄り二人きりで冬の小樽へ旅に出すことに決めました。  航空券を手配し、スケジュール表と非常用の連絡先リストを作り、大きめの字でプリントアウトし、父よりはまだしゃっきりしている母に持たせました。  出発の朝は羽田空港までいっしょに行き、インターネットの申し込み書の番号を機械に登録しての発券からチェックインを母にやって見せて、「帰りも同じようにするんだよ」と教えました。  ゲートを通るとき、さっそく不手際があったのか係員に呼び止められて時間がかかり、行列を止め...