背すじ凍る

新宿,占い,サロン・ド・ミネ 鴨下靖令

猛暑続きのある夕方に背すじが凍るようなできごとがありました。
食事の準備には少々早い時間、エアコンの効いた部屋で読みかけの本を持ってソファに横になりました。何ページも読まないうちに、背中に痒さを感じて背中に手を回しました。
すると「フニャ」と、なにか柔らかい感触が……。
そう、私がもっとも嫌いな生物、幼虫?
声も出ないまま、一瞬の間にその物体を摘み、床に放り出しました。

「どうしよう?」

家には犬二匹と私だけ。誰も助けてくれない。
「片付けないと!動き出さないうちに!」
だけど、どこに放り出したのか?見えないし、見たくもありません。
「そうだ、掃除機だ」
床を見ないで隅から隅まで掃除機を走らせ、その後さらに電動モップで念入りに清掃をしました。

急いでシャワーを浴びたけど、手にあの感触が残っており、体が凍ります。
なぜ、背中に虫が入ったのでしょう?
外を歩くときは日傘を差しているし……。

考えているうちに気がつきました。
大嫌いな虫を見た瞬間に「きゃーっ」っと逃げ出す私は、幼虫など触ったこともないのに。
なぜ幼虫だとわかったのでしょうか?

柔らかいその物体の正体はいったい?。
「?」のままなのです。

鴨下